【第90回】「頸椎後縦靭帯骨化症」について【2018年4月】

今回は「頸椎(けいつい)後縦靭帯(じんたい)骨化症」についてお話しします。後縦靭帯とは頸椎の後方にある靭帯で、それが肥厚、骨化することにより、脊髄を圧迫して症状が出ます。主な症状は頸部の凝り感、痛み、手足のしびれや細かいことができない(箸が使いにくい、字が書きにくい、ボタンが留めにくい)などですが、ひどくなると足が突っ張って歩きにくくなったりします。
 この骨化は非常にゆっくりとしか進行しないため、症状が出た場合には、脊髄の圧迫はかなり進んでいるということも多いです。骨化が著明であればエックス線で診断は容易ですが、骨化がはっきりしないときは、磁気共鳴画像装置(MRI)やコンピューター断層撮影装置(CT)の検査が有用です。MRIは脊髄の圧迫の程度、CTは骨化の大きさや範囲の描出に優れています。
 脊髄の圧迫が著明な場合は、頸椎への強い力(コンタクトスポーツや転倒など)により脊髄損傷につながることもあり注意が必要です。また、必ず継時的なフォローアップを忘れないようにしてください。