【第89回】「骨端線損傷」について【2018年3月】

今回は、子どもの外傷である「骨端線損傷」についてお話しします。「骨端線」とは骨をつくる部分で、軟骨でできています。従って、骨より強度が弱く傷んでしまうことがあります。足首をひねって、外くるぶしの骨端線を傷めたり、野球少年が投げ過ぎで上腕骨近位を傷めることもあります。
 強い外力が加われば、骨端線周囲の骨も骨折を起こしたり、骨端線の部分で大きく転位します。その場合はエックス線写真で分かりますが、軽度の損傷ではエックス線写真ではほとんど分かりません。磁気共鳴画像装置(MRI)では転位のない骨端線損傷も描出できるので有効です。
 エックス線写真では異常がないのに異常に腫れていたり、押すと痛みが強い場合は骨端線損傷の可能性が高いのでぜひMRI検査をお勧めします。また損傷の程度によっては骨の成長障害を起こすこともあるので、継時的なチェックが必要になることもあります。