【第91回】「膝内側側副靱帯損傷」について【2018年5月】

 今回は膝の4本ある靭帯(じんたい)のうちで一番受傷することが多い「膝内側側副靱帯損傷」についてお話しします。この靭帯は膝が外反(外向きにくの字になる)することによって損傷します。
 多くの場合は大腿(だいたい)骨側の受傷であり、靭帯中央部や脛骨(けいこつ)側の受傷は極めてまれです。私もたくさんの患者さまを見てきましたが、脛骨側の損傷は1人しか見たことがありません。従って、痛みの場所も内側半月板損傷のときとは違い、少し膝上内側が多いです。
 以前は手術治療が行われてきましたが、最近ではほとんどの場合、ギプスや装具による保存療法で治ることが分かってきました。受傷後、時間が経過すれば靭帯が伸びた状態でくっつくため、膝の不安定感が残ります。膝をひねって痛みが出た場合は早めに専門の医師の受診をお勧めします。