【第74回】「指の靭帯損傷」について【2016年12月】

今回は手指の靭帯損傷についてお話しします。「以前、指をぶつけて痛みと腫れが続いています」と言う患者さんが時々おられます。指の関節は「蝶番関節」といって一定方向にしか動きません。すなわち曲げることと伸ばすことしかできません。膝や肘関節も同じで、関節の側面に「側副靭帯」というものがあるためです。指をぶつけるなど、通常の関節の動く向き以外に強い力が加わると、側副靭帯が損傷します。
 部分的な損傷であれば多少横方向にぐらつきが出ます。指が90度くらい横を向くこともある完全断裂であれば、すぐに病院を受診する方がほとんどですが、部分断裂では「いつか治るだろう」と受傷後しばらくしてから受診する方が多いです。受傷後1カ月を過ぎると靭帯が伸びた状態でくっつくため、関節のぐらつきが残り、痛みも持続しやすいです。完全断裂では手術が必要ですが、部分断裂で受傷後すぐならテーピングできちんと治りますので、指をぶつけて痛みと腫れがある場合は、早めの受診をお勧めします。