【第67回】「変形性膝関節症」について(その1)【2016年5月】

今回は膝の軟骨がすり減る「変形性膝(しつ)関節症」についてお話しします。年齢とともに軟骨はすり減りますが、人によってはエックス線上ではあまりひどくないのに、激しい痛みを訴える患者さんもおられます。最近の研究では、そういう激しい痛みの中に、軟骨やその下の骨の血流が低下して虚血になっている場合や、骨の強度が低下して微細な骨折を起こしている場合があることが明らかになってきました。一般的に、軟骨は徐々に摩耗していきますが、この場合では変形のスピードが強く、短期間の間に、中期から末期の変形性膝関節症に移行することもあります。普通のレントゲンではわからないですが、磁気共鳴画像装置(MRI)では虚血や微細な骨折も発見できます。痛みが強い場合は、「年だから仕方がない」と考えずに、早めの受診をお勧めします。次回は治療についてお話しします。