【第68回】「変形性膝関節症」について(その2)【2016年6月】

前回は、急激に進行する変形性膝(しつ)関節症について説明しましたが、今回はその治療についてお話しします。痛みに対しては、通常の変形性膝関節症と同じで、消炎鎮痛剤の内服や関節内注射、リハビリなどですが、この病態ならではの治療もあります。
 人間の体には修復能力があるため、軟骨やその下の骨の血流が低下して虚血になっている場合でも、その部位に負荷がかかりにくくすれば、血行が回復することがあります。そのために健常な部位で体重を受けるようにする「足底板」を足の下に装着したり、つえを使ったりします。また、骨の強度が低下している場合は、骨の強度を上げる注射があります。週に1回皮下に打つ注射ですが、数回の注射で疼痛(とうつう)が著明に減少する方が多いです。
 通常、疼痛が減少しても磁気共鳴画像装置(MRI)で画像がほぼ正常になるまで、数カ月間は注射を継続することが望ましいです。膝の痛みでお悩みの方は、一度主治医の先生に相談してみてください。