【第62回】複合性局所疼痛症候群(CRPS)について(その1)【2015年12月】

今回は、聞き慣れない「複合性局所疼痛(とうつう)症候群(CRPS)」についてお話しします。この病気の多くは、骨折、打撲、捻挫などの外傷をきっかけとして発症し、慢性的な痛みと腫脹(しゅちょう=浮腫)などを起こす疾患です。また外傷のきっかけのない内臓疾患や脳卒中で起きることもあります。
 症状として特徴的なのは、しびれたような針で刺すような痛みや知覚過敏と浮腫です。浮腫を伴わない早期のCRPSは存在しないといわれているくらい浮腫は重要な病態です。発症した部位では、関節が動きにくくなり、皮膚、毛、爪の萎縮が現れることがあります。また、汗を異常にかいたり、反対に全く汗が出なくなったりする場合もあります。
 激痛であればすぐに受診されることが多いですが、我慢強い方では、発症後時間がたってから受診される方も珍しくありません。もともと難治性の疾患ですが、慢性化すればさらに治るまでの時間を必要としますので、変だなと思ったら早めの受診をお勧めします。次回は治療についてお話しします。