【第61回】「肉離れ」について【2015年11月】

 今回は、「肉離れ」についてお話しします。スポーツ時の受傷が多く、下肢、特にふくらはぎや、大腿(だいたい)後面のハムストリングが好発部位です。以前は筋肉の真ん中の「筋腹」で断裂すると考えられていましたが、磁気共鳴画像装置(MRI)の普及により、筋腹で断裂することはほとんどなく、筋肉が、筋肉の入れ物である「筋腱膜(けんまく)」や、筋肉から腱に移行する「筋腱移行部」で損傷することが分かってきました。
 程度としては、出血斑のみ見られる出血型、筋腱移行部(腱膜)損傷型、筋腱断裂型があり、後者ほど重傷です。症状は、軽度の痛みから、歩行どころか足を動かせないほどの痛みになることもあります。
 治療は、アイシングや弾力包帯固定、消炎鎮痛剤の内服外用の保存療法で済むことが多いですが、断裂型では手術が必要な場合もあります。スポーツの復帰時期は、ストレッチで痛みを感じないことはもちろん、腱側と同じストレッチ感(伸びる感じ)でできているかどうかが重要です。MRIで重症度は判断できますので、早めの受診をお勧めします。