【第60回】「坐骨神経痛」について【2015年10月】

 今回は、下肢が痛んだりしびれたりする「坐骨(ざこつ)神経痛」についてお話しします。「坐骨神経痛」という病気があると思っている方が多いかもしれませんが、これは坐骨神経の痛みがあるという「病態」で「病名」ではありません。坐骨神経は体の中で最も太く長い末梢(まっしょう)神経ですが、これが刺激されるものです。最も多いのは「腰椎椎間板ヘルニア」や「腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症」「変形性腰椎症」などの腰椎の疾患です。他に、坐骨神経が臀部(でんぶ)の筋肉によって圧迫される「梨状筋症候群」などもまれにあります。
 治療としては、神経の炎症を取るために内服薬を使ったり、筋肉の緊張を取るためのストレッチ、リハビリなど、また神経ブロックが行われることもあります。ただ、いろんな病気によって生じる「坐骨神経痛」なので原因をしっかりと究明し、病気そのものを治療することが必要です。神経の刺激が長時間になると神経が過敏になって痛みが増強することもあるため、あまり我慢せず早めの受診をお勧めします。