【第38回】「肩の筋(すじ)が切れる」(その1)【2013年12月】

 「先日から肩が痛くてたまらん。筋が切れちゃあせんろうか?」と来られる患者さんがおられます。この「筋」というのは「腱板(けんばん)」のことで腕を上げるために必要不可欠なものです。
 腱板は四つの筋肉、肩甲下筋、棘上(きょくじょう)筋、棘下筋、小円筋の腱が一緒になってできています。肩を打撲したり、変にひねったりすると、肩峰と上腕骨の間にこの腱板が挟まり断裂する、それが俗にいう筋が切れる「腱板損傷」です。ただ、高齢になるともともと腱板が擦り切れて薄くなり、はっきりした外力がなくても断裂することがあります。部分的な断裂では痛みと肩が上がりにくいという症状が出ますが、完全に断裂すると反対の手で手伝わないと上がらなくなります。そして、動かさないでおくと拘縮して、手伝っても上がらなくなることもあります。
 腱板は磁気共鳴画像装置(MRI)で写りますので、肩の痛みが強い場合や、上がりにくい場合は早めに整形外科を受診するのがいいでしょう。次回は治療についてお話しします。