【第105回】「股関節が浅い?」【2019年7月】

今回は股関節のかぶりが浅い「臼蓋形成不全」についてお話しします。股関節は骨盤の「臼蓋」という受け皿に、丸い「大腿(だいたい)骨頭」が入ってあらゆる方向に動く関節です。「臼蓋形成不全」とは、この骨盤側の「臼蓋」が通常より小さい病態です。
  原因としては「先天性股関節脱臼」が多いと考えられていますが、新生児検診で正常と判断されていた方が大人になり「臼蓋形成不全」と診断されることもあります。症状としては、股関節の違和感、たくさん動いた後の軽度の痛みから自覚することが多く、次第に痛みが強くなります。
  なぜ臼蓋が小さいと良くないかというと、臼蓋は体重を受けるのに重要な場所だからです。臼蓋が広いと同じ体重を多くの面積で受けることができますが、狭いと単位面積当たりの荷重が大きくなってしまい、炎症が起きたり、軟骨がすり減りやすくなります。痛みを減少させるには、体重の減少と股関節回りの筋力強化が重要です。股関節の違和感や軽度の痛みを感じたら一度受診されることをお勧めします。