【第94回】「特発性大腿骨頭壊死症」について【2018年8月】

 今回は、股関節の痛みの一つである「特発性大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)症」についてお話しします。大腿骨頭への血流が途絶え、骨が壊死して、軟骨と骨が陥没するのですが、原因ははっきりしておらず、原因不明という「特発性」となっております。ただ誘因としては、アルコールの飲み過ぎや、ステロイド剤の服用が挙げられますが、全くそれらに関係ない方でも発症することも多いです。国民的有名歌手であったH.Mさんや、俳優業を休止したK.Sさんもこの病気でした。
  初期にはエックス線では分からず、磁気共鳴画像装置(MRI)が診断の有効な方法です。壊死が部分的である場合は、骨の陥没も少なく、保存的に加療できる場合もあります。壊死が広範囲で骨頭の変形が強い場合は、痛みも増強するため、手術が必要になります。痛みは比較的急に発生することが多く、徐々に痛くなるということは少ないとされております。急な股関節の痛みが出た場合は、早めの受診がいいでしょう。