【第93回】「ガングリオン」について【2018年7月】

今回は「ガングリオン」についてお話しします。悪性腫瘍である「癌(がん)」ではありませんので、間違わないでください。ガングリオンは良性の腫瘍で、袋の中にゼリー状の内容物が入ったものです。好発部位は手関節や手が多く、足関節や、膝の半月板損傷のときに関節内に発生することもあります。
通常は痛みを伴いませんが、大きくなったり、近くの神経を圧迫したりすると痛みが出ます。痛みがない場合は経過観察でいいのですが、見た目が気になったり、痛みが出た場合は処置が必要です。
一番簡単な方法は針を刺して注射器で中身を吸引する「穿刺(せんし)法」です。ただこの場合、袋は残るので、また内容物がたまってくることもあります。力をかけてガングリオンを潰す「圧砕法」もあるのですが、潰すときにかなりの痛みを伴うので、通常は行われません。何回穿刺しても再発する場合は、手術で袋ごと摘出することが多いのですが、これもまれに再発することもあり、どの方法がいいのかは主治医と患者さんでの相談となります。