【第87回】「腓骨神経まひ」について【2018年1月】

 今回は、足首が動かなくなる(下垂足)原因の一つである「腓骨(ひこつ)神経まひ」についてお話しします。腓骨神経とは膝(しつ)関節の後方で坐骨(ざこつ)神経から分かれる神経で、膝外側後方にある骨の隆起「腓骨頭」の後方にあります。ここは神経の可動性が乏しく、さらに皮膚のすぐ下を神経が走行しているため、軽度の圧迫で容易にまひが生じます。
 例えば寝ているときに腓骨頭が物に当たっていたとか、長時間膝屈曲位でしゃがんでいて発症した方もおられます。症状としては、足首、足趾(そくし)が持ち上がらなくなり、しびれがあり、知覚が低下します。痛みがあることはまずありません。
 骨折、脱臼などの外傷や、腫瘍が原因の場合はすぐに手術が必要ですが、それ以外ではビタミンB12の内服や電気刺激による保存療法を行います。ただ、下垂足は「腰椎椎間板ヘルニア」や「脊柱管狭窄(きょうさく)症」などでも起こることがあります。足首に力が入りにくいと感じたら早めの受診をお勧めします。