【第76回】橈骨遠位端骨折【2017年2月】

 今回は、お年寄りが転倒して骨折することが多い「橈骨遠位端(とうこつえんいたん)骨折」についてお話しします。受傷機転は転倒して手を突くことがほとんどで、手の甲側に変形したものを「コレス骨折」、手のひら側に変形したものを「スミス骨折」といいます。治療は骨折を整復後ギプス固定となります。
 ただ、若い方でも骨折することもあります。エックス線で骨折線がはっきりしている場合は、すぐに診断できますが、エックス線で異常がなくても押すと非常に痛い場合は「不顕性骨折」のことがあります。
 この場合診断に有効なのが磁気共鳴画像装置(MRI)検査です。「不顕性(ふけんせい)骨折」はそのままにしておくとエックス線でも分かる骨折になることがありますので、ギプスまでは必要ないですが、シーネ(当て木)をすることが必要です。現に当院でもシーネを勝手に外して数週間後にエックス線で分かる骨折になった方もおられます。痛みが強い場合は「不顕性骨折」のこともありますので、早めの受診をお勧めします。