【第43回】「疲労骨折」について【2014年5月】

 今回は疲労骨折についてお話しします。一般に骨折は、1回の瞬間的な外力によって生じることが多いですが、疲労骨折は繰り返しの軽微な外力によって起こるものです。例えばスプーンを何回も同じところで曲げていると、そこで金属疲労が生じ折れてしまうのと同じ原理です。発生部位として多いのは、足部の中足骨や下腿(かたい)の脛骨(けいこつ)などが挙げられます。走ることやジャンプすることが多い競技などで発生しやすいとされています。
 症状としては、疲労骨折も当然痛みを伴いますが、一瞬で起きる骨折の激痛とは違い、安静時には痛みがなくなるような中等度のものであることが多いです。そのため、来院が遅くなることもあります。エックス線で分かる場合は、骨折線や修復の仮骨が見える進行した状態で、極めて初期の場合はエックス線上では写らず、磁気共鳴画像装置(MRI)で初めて診断できます。スポーツをしていて長期間痛みが続くようなら、一度整形外科を受診する方がいいでしょう。