【第32回】膝の半月板損傷について(その1)【2013年6月】

 今回は、膝の外傷の中でも耳にすることが多い「半月板損傷」についてお話しします。半月板は軟骨様の組織で弾性があり、大腿(だいたい)骨と脛(けい)骨の間でクッションの役目をしています。これが破れると、膝の曲げ伸ばしや歩行で痛みが出たり、ひどい場合は引っ掛かって膝が動かなくなることもあります。
 若い人の場合は、はっきりした外傷(例えばスポーツをしていて膝をひねったなど)が契機としてありますが、年齢が上がるとはっきりした外傷もなく「最近いつの間にか痛くなった」といったように、契機が明らかでないことが多いのです。それは半月板自体が、膝の中で毎日大腿骨と脛骨の間に挟まれているため、次第に傷んで破れやすくなっているからです。
 そのような半月板では、微小な外力で破れることがあります。また半月板が破れると膝に水がたまりやすいという特徴もあるのです。次回は半月板損傷の治療についてお話しします。