【第28回】 転ばぬ先の杖【2013年2月】

 前回は「骨質」についてお話ししましたが、今回は骨粗しょう症の治療についての新しい方針を述べたいと思います。
 以前は若い人の骨密度に対して70%未満になれば骨粗しょう症として治療を開始していましたが、最近は70%以上の骨密度であっても治療を行う場合があります。それは、軽微な外力で脊椎の圧迫骨折や手首、股関節の付け根の骨折を起こした場合や、関節リウマチ、糖尿病、腎臓病、肝疾患、アルコールの大量摂取、長期間の喫煙、骨折の家族歴がある場合などです。これらを骨粗しょう症の危険因子であると捉え、骨密度がまだ高い時期から治療を始めることによって骨密度の低下を未然に防ぐことができるからです。
 まさに「転ばぬ先の杖(つえ)」として、骨粗しょう症は早期の治療を行うようになってきているのです。まだまだ若いから大丈夫と安心して考えるのではなく、早めに専門医に相談してみるといいでしょう。