【第12回】 「ぎっくり腰」について【2011年10月】

 「先生、ぎっくり腰になってしまいました」と患者さんが来られることがあります。ぎっくり腰とは突然起きる腰痛のことを総称していっているので、正しい病名ではありません。その中には、筋肉の炎症である「筋・筋膜性腰痛」や、椎間板が飛び出して神経に触る「腰椎椎間板ヘルニア」、若年者に起こる腰椎の疲労骨折である「腰椎分離症」など、いろんな疾患が考えられます。その多くは筋・筋膜性腰痛ですが、痛みが引くまでじっと寝ているという方もおられます。しかし、最近の研究では、安静は痛みの強い最初の数日だけにとどめて、後は徐々に動くようにする方が痛みを早めに減少させることができるともいわれています。痛みの強いときはつらいので、痛み止めの内服や血管注射、局所注射などをすれば早く楽になります。
 痛みが出れば早めに専門医を受診し、症状に応じた治療を行うことで少しでも早く楽になれますので、早期の受診をお勧めします。