【第98回】「鵞足炎」について【2018年12月】

そろそろ、高知龍馬マラソンのためにトレーニングされる方も多くなってきたと思います。今回は、膝のランニング障害の一つである「鵞足(がそく)炎」についてお話しいたします。
 「鵞足」は、膝を曲げる筋肉である、半腱(はんけん)様筋、薄筋(はっきん)、縫工筋の腱部の総称で、膝内側で関節からやや遠位に付着しています。ランニングなどで足を後ろに蹴り出す力が強かったり、過度の負荷がかかると、炎症を起こします。特徴は鵞足付着部に限局した圧痛が見られますが、腫れはほとんどありません。原因は、ウオーミングアップ不足やオーバートレーニングで、まず安静が必要です。
 痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤の内服、外用薬に加え、ステロイドの局所注射を行うことがあります。ただ注射を多用すると、鵞足自体の強度が低下し、微細断裂を引き起こすこともあるので注意が必要です。運動後は大腿(だいたい)後面のストレッチを十分に行い、鵞足のアイシングを行いましょう。我慢して慢性的な炎症になれば復帰まで時間がかかります。早めの受診をお勧めします。