【第82回】「マレット指(槌指)」について【2017年8月】

今回は指の外傷である「マレット指」についてお話しします。これは、指の先に物が当たって、指の第一関節(遠位指節間関節)が木槌(きづち)のように曲がって自力では伸ばすことができない状態です。
 原因は二つあり、一つは末節骨に付いている伸筋腱(けん)が骨から剥がれた状態(腱性マレット)、もう一つは末節骨の伸筋腱付着部が骨折している状態(骨性マレット)です。これを診断するにはエックス線検査が必要です。
 骨折がなければ、第一関節を伸ばした状態で装具を着けて治療しますが、約3カ月の固定が必要です。骨折のある場合は、骨片を元に戻してから第一関節をピンで固定する手術(石黒法)となります。骨性マレットの場合は痛みを伴いますのですぐに受診されることが多いですが、腱性マレットでは痛みのない場合も多く、受傷後しばらくして受診される場合もあります。受傷から時間がたち過ぎると、治療をしても第一関節の伸展制限が残りますので、指が曲がってなんか変だなと感じたら早めの受診をお勧めします。