【第80回】「野球肘」について(その2)【2017年6月】

 今回は、「野球肘」の診断と治療についてお話しします。前回、内側型、外側型、後方型というお話をしましたが、当然その部位を押すと痛みが出ます。また、肘を左右方向に動かす(ストレス検査)と、痛みが誘発されます。エックス線では初期の骨の白さがやや薄くなっている「透亮像」や、線が入った感じの「分離像」、進行して骨が離れた「遊離像」が見られます。磁気共鳴画像装置(MRI)ではエックス線で所見が出ない、ごく初期でも発見できることがあります。
 治療の基本は、「投球禁止」です。エックス線変化が見られる場合は3カ月以上の投球禁止が必要ですが、中には半年以上かかる場合もあります。できるだけ毎日のアイシングも行いましょう。骨が離れた遊離期では、手術によって分離した骨片を摘出したり、骨軟骨欠損のひどい場合は骨軟骨移植術も考慮されます。やはり進行してからでは、治療期間が長くなるため、肘が痛くなればできるだけ早期の受診をお勧めします。